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2025.07.23
成城大学では、2025年度に新カリキュラム「Seijo Career Program(SCP)」1)がスタートしました。他者と社会と関わりながら実践的に学ぶ「キャリア?プラクティス」(計6科目)の中で、今回は「キャリア?プラクティスⅡ〈社会起業と社内起業〉」2)の第14回「投資家プレゼンテーション」をレポートします。
科目「キャリア?プラクティスⅡ〈社会起業と社内起業〉」
科目担当教員:岡本守弘先生?森田寛彦先生(株式会社NTTデータ ソーシャルデザイン推進室)
日本の社会課題解決につながる新規事業を立ち上げる
授業期間(約3ヶ月間)、学生が日本の社会課題を解決する新規事業を考え、一般企業(社内起業)であれば経営層に、スタートアップ(社会起業)であれば投資家にプレゼンテーションを行う設定で、投資承認を得られるクオリティレベルの企画立案を目指してきました。学生は、チームメンバーをクラスの中から探し、チームで解決したい社会課題のテーマを設定。授業では講義は最小限に、課題を解決するためのサービスやビジネスモデルについてディスカッションしたり、定量?定性調査やフィールドワークを行いビジネスとしてのリアリティを高めたり、NTTデータで新規事業に従事する社員3)が伴走しながら、以下の全8チームが第14回(7/11)に「投資家プレゼンテーション」に臨みました。
8チームが発表した事業?サービス
?動物とのふれあいを通じて孤独な高齢者の心身の健康を支える「ひだまりパートナー」
?日本人の眠りの意識改革で生活習慣病を予防する「MindA」
?結婚?出産に対する意識を子供の頃からゲームで醸成する「未来のための授業~結婚?出産に向けて~」
?インバウンド誘致によって地域活性化を狙う「Curiocity MIURA 油壷の再観光地化」
?レンタルBOXを使用したレジャー道具の貸し出しによって公園での運動を促し生活習慣病を未然に防ぐ「PARK LEISURE BOX」
?新卒3年目以内のマイナス要因による離職率の上昇を防ぐ「共鳴carrer」
?教員の過重労働に伴う精神疾患を和らげる「EDUSUPPORT AI」
?小学生から金融教育を提供することで競争力のある人材を育成する「マネアカ」
プレゼンテーションは、学内データサイエンススクエアにて実施。審査員は、本学学長の杉本義行、森本美紀氏(「キャリア?プラクティスⅤ〈ウェルビーイング〉」非常勤講師)、正木弾氏(「キャリア?プラクティスⅣ〈サステナビリティ〉」ゲスト講師)。3名からのコメントと質疑応答により審査を実施。翌回(最終回)の授業で、各チームが考えた事業?サービスに「投資する」?「投資しない」の最終結果を伝え、投資する場合の投資額(審査員1人あたりの仮想投資原資は1,000万円)をフィードバックしました。
チームで練り上げた事業を投資家に提案
鋭い指摘と厳しい質問に堂々と答える
学生のコメント(一部改編)
?1つの課題を解決しようとしたら、また次の課題が出てきて翻弄されたが、それが社会だと思った
?社会課題解決と収益のバランスを取ることができず、悔しかったが勉強になった
?同学年の他の学生が、実際に色々なことを考えていることに気づかされ、刺激になった
?自分が苦手とする部分を授業やプレゼンテーションで指摘されたが、それは人生で乗り越えるべきものだと思った
?非常に大変な授業だったが、実践的に学べて楽しかった
?世の中にあるサービスがどれだけ苦労して生み出されたものかが分かり、リスペクトしたいと思った
科目担当教員 岡本守弘先生より
授業の第2回で、実際に私が進めているプロジェクトの経営層へのプレゼンテーションをそのまま見てもらい、学生たちが目指す3ヶ月後の姿を示しました。私が経営層から受け取った厳しい指摘など “社会のリアル”も授業の中で伝えました。単純に世の中が便利になるようなサービスを作るだけでなく、社会課題を解決しなければならない、さらに、利益も追及しなければならない、という難題に向き合ったこの時間は、今後、社会で必ず生きていきます。「誰に、何を、どのように提供するのか、あなたはどんな世界にしたいのか」。社会起業と社内起業のこのシンプルな問いに対し、私も起業家であり続けながら、学生たちと向き合っていきたいと思います。
科目担当教員 森田寛彦先生より
本科目では、1年生であっても社会人と同等のレベルで、社会課題解決型の新規事業創出に挑んでもらいました。正解のない時代に求められるのは、変化に柔軟に対応し、自ら問いを立て、行動しながら学び続ける力です。そこで授業は、理論のインプットは最小限に留め、社会課題の設定から解決策の仮説構築?検証、そして事業計画の立案までを、チームで主体的に進める実践型の構成にしました。現場での迷いや葛藤、試行錯誤を重ねる中で、理論の意味や行動力?協働の本質を体感していきます。最初は戸惑っていた学生たちが、「投資家プレゼンテーション」では自信をもって社会に対する想いを語る姿に心を打たれます。この授業で得た経験は、激動の時代をサバイブし、社会に新たな価値を生み出す力の礎となるはずです。失敗を恐れず挑戦を楽しむ。その姿勢をこれからの人生に活かしてほしいと願っています。
注)
1)成城大学のキャリア教育 Seijo Career Program(SCP)
/career/news/cvt4qu000000h94b.html
2) 2025年度「キャリア?プラクティスⅡ〈社会起業と社内起業〉」シラバス
https://lc.seijo.ac.jp/lcu-web/SC_06001B00_22/referenceDirect?subjectID=202700695764&formatCD=1
社内起業:企業内において新しいビジネスを立ち上げること。
社会起業:社会課題をビジネスにより解決すること。
3)株式会社NTTデータ ソーシャルデザイン推進室(公式ホームページより引用)
Smarter Societyを実現するために、これまでNTTデータが多くのお客さまと培ってきた知見や豊富なアセットを活用し、業界を超えて企業や行政をつなぐことで、共創パートナーの皆さまと新たなエコシステムを構築し新規事業を創出
文責?撮影 勝又あずさ(成城大学 キャリアセンター)