bet36体育在线

图片

成城大学

成城大学

Twitter FaceBook instagram YouTube LINE note
CONTACT EN

中村 理香 教授「思想?人間論演習b」

「予習レポート」を通じたインタラクティブな授業

中村 理香 教授「 思想?人間論演習b」

教員基本情報

氏 名 :中村 理香(なかむら りか)

所 属 :経済学部

職 名 :教授

専門分野:北米マイノリティ文学と文化

授業概要

対象者  :全1~4年生

授業形態 :講義

単位数  :2単位

履修者数 :6名

  • 【特に活用しているツール】
    ?課題書籍(最重要アイテム)
    ?Google Classroom(予習レポートの提出?返却等)
    ?白板(意見の整理に活用)
    ?授業用配布プリント(前回授業の振り返り、レポート課題、関連資料紹介等)

  • 【授業運営のキーワード】
    ①課題書籍
    予習レポート
    ③ディスカッション

【授業時間外の学習】(シラバスより抜粋)
課題テクストを読み、それに関する予習小レポートを、授業の2日前までに提出していただきます(毎週)。想定学修時間は、4時間程度。

【成績評価の基準と方法】(シラバスより抜粋)
小レポート 60%、定期試験 40%

授業内容(シラバスより抜粋)

中村 理香 教授「 思想?人間論演習b」

 D∨や虐待など親密圏で生じる暴力について、主にジェンダーや人種、セクシュアリティの観点からアプローチを試みます。ノンフィクション書籍3冊(一部抜粋)と、アメリカの刑務所での加害者更生の取り組みを描いたドキュメンタリー映画をとおして、被害の連鎖や、被害から加害への移行のサイクルを断ち切る取り組みについて考えます。これらを通じて、正義を求めることの重要性とともに、そこに収まりきらない余剰や矛盾、葛藤、揺れといった要素(感情や体験)等を考えることを目的としています。

到達目標(シラバスより抜粋)

  • DVや虐待などの発生メカニズムと、人種やジェンダーとの関係を理解します。またそれら暴力の後遺症から抜け出すための取り組みや支援について学びます。
  • 暴力の加害者について、単純な擁護(「かれらこそ被害者だ」論)や自己責任論(「生い立ちのせいにするな」論)ではない、複雑性を通して考えられるようになります。
  • 大学でのレポートの書き方を習得し、感想文ではなく、分析文を書けるようになります。

取材当日の様子(12月12日)


 レジュメが配布され、この日は、「振り返り」「予習レポートに対する解説および加筆作業」「ディスカッション」「ミニディスカッション(問題提起)」という構成で授業が行われた。
 授業冒頭は、前回の授業内容について、テーマおよび議論された流れを確認しながら、振り返りと補足が行われた。
 次に、本日のテーマである、テクスト(坂上香『プリズン?サークル』)第9 章および第10 章に取り掛かった。授業2 日前までが提出期限となっている「予習レポート」は、配付されたレジュメに記載されており、各レポートに対して、先生からのコメントが赤字で明記されている。 加筆作業は、その中から「論点は素晴らしいので、もうひと言説明がほしいです」と書かれたレポート2 本について、まず全員で先生からのコメント内容を確認したあと、個人ワークとして、より良いレポートにするための加筆が行われた。議論をさらに掘り下げるための「もうひと言」を探したり、コメントに応じた補足説明や、引用と読解の関係を自分の言葉でより丁寧に説明するなど、議論を深め、テクストに沿った論述ができるよう、実践練習が行われた。
 その後のディスカッションパートでは、3人ずつのグループに分かれて、各自がどのレポートを選び、どのような加筆を行ったのか、受講生間で共有が行われた。少人数のグループであることから、受講生たちは順々に発言し、テクストのページを確認しながら反応を返すなど、熱心に話し合っている様子が見られた。先生からは、個人ワークおよびディスカッションの際に、残り時間の共有が適切に行われ、受講生たちの作業や議論の時間配分を丁寧に采配していた。
 その後、ディスカッション内容について各グループから発表が行われ、先生からは、「なるほど!」「素晴らしい!」「大事な視点ですね」といった前向きなフィードバックがなされるとともに、その結論に至った理由やテクストの参照ページを受講生に確認するなど、エビデンスに基づいて意見を述べる癖づけをさせている姿が印象的であった。
 最後に、今回の読解範囲の中で気づいた点について、ミニディスカッション(問題提起)の時間が取られた。先生は、受講生一人ひとりの氏名を呼びかけて発表を促しており、発言に対しては、うなずきや手振りを含めた大きな反応で応え、授業に対する先生のエネルギーに受講生たちも応えるかのように、熱心な意見交換が行われていた。

教員インタビュー(Q&A)

Q.授業準備の詳細について教えてください。

A. ?受講生に提示した課題図書を読む(月?火曜)。
?提出されたレポートを受講生全員に配信(火曜)。
?レポートを読み、コメントと点数を付けて返却(火?水曜)。
?授業用配付プリントの作成(右記参照)。


Q. 授業のポイントを教えてください。

A. 課題図書から指定の範囲(2章程度)を読み、予習レポートを提出してもらいます(2日前)。それを元に、全員がお互いのレポートにコメントし、ディスカッションを行います。授業前にまず自分ひとりでテクストと向き合い、深く考える機会を持ってもらうことと、授業では、そこから解釈を共有したり、時にぶつかり合いながら、さらに読解を深めます。理想的には、授業は自分の認識を揺さぶられる場であってほしいです。

Q. 授業での学生との関わり方について教えてください。

A. 主な関わりは、予習レポートへのコメントと全体ディスカッション時の応答です。褒めるところは徹底的に褒め、具体例や説明が足りないと思われる箇所はそれを指摘し、シビアな点数も付けるなど、相手も真剣だという前提で、こちらも真剣に返します。その代わり、評価基準は繰り返し、具体例を示しつつ何度も説明します。

Q. 学生への期待を教えてください。

A. 感想文ではなく、テクストを分析し、考察する力と、それを自分の言葉で表現し説明する力を身につけてほしいです。
善悪二元論ではない「正義」の求め方について、テクストをとおして深く複雑に考えられるようになってほしいです。現実は決して二元論ではないので、その中で何ができるか、考えられるようになってほしいです。

学生インタビュー(Q&A)

Q. この授業を履修したきっかけは何ですか?

A. 法学部なので、本を読んで、それに対してそれぞれの考えを意見交換するといった文学に触れる授業を受講してみたいと思い履修しました。

A. 前期は履修していなかったが、後期のテーマ(刑務所を取り巻く差別等)を見て、自分の中にも差別意識があるのでは?もしあるとしたら意識を変えたい!と思ったので受講しました。ずっと興味があった授業なので、4年生になったいま、履修ができました。

Q. この授業のよいところはどんなところですか?

A. 人前で話すことが得意ではないため、最初のディベートに不安を感じましたが、自分が話したことを先生が別の言葉でまとめ、補足をしてくれるので、考えのキャッチボールが生まれるところです。少人数だからこその面白さがあり、先生から気づきをもらえます。

A. 少人数であるところ。一人一人に発言の機会があり、レポートを個人で書き、それを全員でディベートすることで深められ「授業内容が身に付いている」とすごく感じる。大人数の授業では得られない知識の定着感があります

インタビューは6名の学生さんに回答いただきました。